和希と制服

1話 日本の制服に付いて


2006.7.7UP




 久しぶりに日本に帰ってきた。
 やっぱり故郷の土は心が安らぐ気がする。
 俺は、ちょっとした興味でこっそり自宅を抜け出して、最寄り駅へと向かった。

 夕方という事もあり、丁度学生の帰宅時間なのだろうか。
 そこかしこに決められた服を来た学生らしき子供達がたむろしている。
 まあ、『制服』という物をぬかせば、何処の国でも似た様な光景がこの時間には繰り広げられているのだと思った。
 だが、この制服という物は、案外いい物だと思う。
 俺自身は中学生の時に着て以来、袖を通す事は無くなったが、周りの学友達はこの制服で進学先を決めていた程、学生生活には重要な物だと認識している。
 学生の象徴。
 商店街のメインストリートに窓を有した喫茶店に一人で入って、道行く学生達を眺めた。
 ブレザーの前を全開にしてじゃれ合う男の子達。
 ブレザーにネクタイという、まあお決まりの取り合わせだが、制服のデザインの所為か、子供らしくて可愛いと思う。
 大人が着るスーツとは趣が違う。
 これなら活発な年頃の彼らにも、そう窮屈には感じないのだろう。
 そして、一様にスカートの丈を短くしている女の子達。
 あれは、最近の流行なのだろうか。
 だけどあれじゃ、冬は大変だろうな。
 どう考えたって、絶対に腰が冷える。
 女の子は腰を冷やしたらだめだろう。
 でも、あのくらいの年頃の子は、そんな事には気も止めないんだろうな。
 健康的な足を惜しげもなく晒して、きゃあきゃあと何かをしきりにしゃべっている。
 きっと、あれが楽しいんだろう。
 それにしても、日本の学校のドレスコードもずいぶんと規制が緩和された物だ。
 俺が中学生の頃には、女子のスカート丈は膝5センチと決まっていたのに。
 男子はズボンの幅を広げるのは禁止とかだったかな。
 髪の毛がどうとか、スカーフがどうとか色々あった気がするけど、彼らを見ている限り、そんな規制があるとは思えない。
 時代のニーズってやつなのか。
 そうこうしているうちに、次第に別の制服の学生が交じり始めた。
 電車で通学している子供達が、帰り着く時間か。
 それにしても、最近は色々なタイプの制服があるな。
 セーラー服をいじったような独特な形の物。
 スカートがチェックのプリーツだったり、色だって、昔は紺とか黒とかがメインだったのが、ずいぶんと色の薄い物まである。
 学ランがメインだった男子の制服も、ブレザーが最近の流行みたいだ。
 制服デザイナーも、頭を悩ませているんだろう。
 でも、普段着るものなのだから、学生達だって必死に選んでその学校を目指したんだろう。
 そう考えると、制服も勉強の役にたっているのかもしれないな。



 時計を見ると、既に夕食まで間がなかった。
 俺はあわてて店を出て、自宅まで走る。
 走りながら、これから俺の職場になる学園の制服はどんな物だろうかと、期待に胸を膨らませた。

 

 

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