Begin The Night 9

2011/09/11up

 

 暫くボーっとして、この組織に来て初めての空いた時間を得たライルは、暫く強く感じていなかったことを感じ始めた。
(……やべぇ、煙草吸いてぇ)
 元々かなりのヘヴィスモーカーだったが、基本的に宇宙空間では吸えない事は知っている。
 宇宙航行が日常的な昨今、どこの航空会社も全機禁煙は当たり前だ。
 宇宙空間で外部からの空気の補給が出来ない状況で、更に酸素を減らす喫煙など、出来るはずもない。
 一般常識である。
 ソランを追って来たはいいが、初めにその衝動をライルが感じたのは、スメラギと共に戦闘を潜り抜けて、初めてプトレマイオスに着艦した直後だった。
 宇宙だったその場所で吸えるはずも無いと、ぐっと堪えた。
 その後、コロニーでは喫煙ルームがあり、更にホテルでも喫煙室があると言う情報に、最初に押さえられていた禁煙室から喫煙室に変えてもらい、久しぶりに思う存分吸った。
 だがコロニーから離れ、月軌道に到着しても、その周辺にあったドッグは、全面禁煙だったのだ。
 そして作戦行動があり、更に喫煙室は遠くなった。
 今は禁煙2ヶ月目だった。
 だが実は、ニコチン摂取はずっとしていた。
 何も火をつけて吸うものだけが、煙草ではない。
 この感覚になることは解っていたので、予めライルは、普通の煙草ではないニコチンを持ってこの場所に来ていた。
 口に咥える形の、熱も煙も無いタイプの煙草だった。
 燃える事は無いので、形は変わらないが、普通の煙草と同じように、吸引でニコチンが摂取できる。
 喫煙者には物足りないが、贅沢は言えない。
 だが、補給に立ち寄ったドッグに、それがなかったのだ。
 故にもう、それが無くなってしまったのだ。
 今手元にあるのは、育児機関が置かれていたコロニーで、プトレマイオスに戻る前に、重力区画から無重力区画に向かうエレベーターに乗り込む前に、吸い貯めと買いこんだ、愛飲の紙巻タイプの普通の煙草だ。
 それを思い浮かべてしまい、更にどつぼに嵌ってしまう。
 喫煙衝動が、体中を駆け巡った。
 ソレまで考えていた哲学的なことなど、喫煙衝動に流されてあっという間にライルの頭の中から消え、ベッドの上をのた打ち回る。
 今は宇宙空間ではなく海中だが、周りから空気を取り込めない環境である事は変わらない。
 そして行き着いた考えは、次に空気の確保できる、喫煙できるドッグに立ち寄るのがいつなのか、もしくは地上に出られるのはいつなのか、ソランに聞く事だった。
 あと何日数えれば、煙草が吸える。
 そう思えれば少しは変わるだろうと、彼女の端末に連絡を入れた。
 暫くして通信は繋がった。
『なんだ、どうした』
 相変わらず素っ気無い言葉だが、それでもライルは縋る。
「なあ、次に地上に上がってタバコが吸えるの、いつだ?」
 ライルの言葉に、ソランは一瞬眉を寄せて、それでも思案して「二週間後だ」と答えてくれる。
 なら自分の禁煙期間はあと二週間だと思い、ソランに礼を告げて通信を切る。
 そしてあと二週間、どう誤魔化すが、ライルは必死に考えた。

 その通信機の向こうで、その後に交わされた会話は当然聞こえていなかった。

 刹那が通信を切った後、ティエリアは刹那に問う。
「……彼は喫煙者なのか?」
 知らなかったと問うティエリアに、刹那は視線を逸らせて「ああ」と答えた。
 その刹那の返答に、その場にいたイアンが、首を傾げる。
「教えてやれば良いだろう」
 そんなイアンの言葉に乗るように、ティエリアも頷いてくれる。
「体力面は問題ない。イアン程度の喫煙量なら、大丈夫だろう」
 そうなのだ。
 実はイアンは喫煙者で、ライルには伝えていなかったが、昔からプトレマイオスは喫煙が出来る環境だったのだ。
 だがソランは、あえてライルに伝えなかった。
 理由は当然ある。
 キスの時の煙草の味が、実はソランの唯一のライルへの不満だったのだ。
 それが解消できる、彼が禁煙してくれるいい口実だと、ずっとライルに隠していたのだ。
 それでもそんな理由は、仲間に語れない。
 黙った刹那に、ティエリアは首をかしげ、イアンはなんとなく察して噴出した。
「まあ、お前さんがアイツを禁煙させたいなら、黙っててやるさ」
 言葉にしてやれば、ティエリアは同意してくれて、刹那はうっすらと頬を染めて頷いた。
 察せられていると、解ったからだ。
 そんな刹那の反応に、イアンは大人になったと笑って肩を叩いて、それでもライルの辛さを伝えてやる。
「だがなぁ、まあ同類だから俺は言うが、自分から禁煙しようと思ってるヤツじゃない限り、かなりキツイぞ。精神衛生もちょっとは考えてやれ」
 刹那の黒髪をかき混ぜるように撫でて、イアンは笑ってミーティング室を出て行った。
 それにならってティエリアもミーティング室を出て行き、残ったのは刹那と、救助したアザディスタン王国の第一皇女、マリナ・イスマイールだけになった。
 気まずそうな刹那に、マリナは笑う。
「大切な人がいるのね。良かった」
「……そう思うか?」
 戦う刹那を否定してきたマリナから、初めて肯定の言葉を聞いて、刹那はマリナに視線を戻した。
「ええ、とても。自分以外の視点を常に持てることは、とても良い事だわ。そしてその人を考えられる事も」
「あんたには、そういう相手はいないのか、マリナ」
 素直な刹那の問いに、マリナは笑って答えた。
「私の恋人は、アザディスタンの国民よ。彼らのためなら、私は何でも出来るわ」
 彼女らしい答えに、刹那は笑った。
「随分と、大人数の恋人だな」
「ええ、とても気が多いの、私」
 略初めての彼女との談笑に、刹那はまた笑った。
 その笑顔に、マリナは彼女が変わった事を感じた。
 初めて出会ったときは、少年だと思っていた。
 連邦保安局の人間にも、そう伝えていた。
 だが救助されて、パイロットスーツを脱いだ刹那を見て、心の底から驚いたのだ。
 顔はあの頃の面影があるが、体型が別人だった。
 声も低く、体型を隠してしまえば男性として通るとも思うが、それでも一目で、女性である自分も憧れる美しい女性のボディラインの刹那に、一体何があったのかと思ってしまった程だ。
 それでも日本で出会った時の、切羽詰ったとげとげしさも無くなった刹那も、マリナは好きだと思えた。
 追い求める方法は逆方向だとしても、結論は同じ場所にある。
 そんな同志である彼女に、マリナは微笑んだ。
 それでも彼女の境遇を思い、言葉を紡ぐ。
「全部、終わったら。そうしたら、あなたの大切な人を、私にも紹介して頂戴」
 彼女のプライベートを知ってしまえば、連邦に近い場所に居るマリナは、世界の治安のために報告する義務を背負ってしまう。
 そして彼女が守りたい人間を、危険に晒すのだ。
 故に今は聞けないが、それでも友人として言葉にすれば、刹那もまた柔らかく笑った。
「ああ、是非。全部終わったら……あんたと俺の望んだ世界になったら、あんたにも会って欲しい。俺の大切な人と」
 かつては敵であったが、今は刹那の故郷になった場所の母たる存在に、刹那は請う。
 自分がいた国も含めて愛してくれている女性に、是非自分が大切にしているものに、祝福を与えて欲しいと。
 今頃部屋でのた打ち回っているだろう男と、その兄と、そして子供を思い浮かべて、刹那はマリナの手を取った。
「……部屋に、案内しよう。アザディスタンに着くまで、ゆっくりしてくれ。あんたも国に帰ったら、ゆっくりする暇など無くなるだろう」
「ええ、ありがとう。私も恋人の為に、精一杯頑張るわ」
 禁煙を迫っている男を制することに頑張っている刹那に、マリナはそう言って笑った。


 だが刹那の必死の数ヶ月も、終わりを迎えてしまう。
 ライルが禁煙のイライラを誤魔化すために、必要以上にトレーニングルームに通い走りこんだ後、シャワーを浴びて通路を歩いていれば、その時初めてライルは、館内でテレビでよく見ていた人物を見かけた。
 アレルヤと共に救助されたと言うのは彼女かと、ソランの出身国を思って納得してしまう。
 どういう繋がりがあるのかは解らなかったが、確かな事はテレビでモニターされていた。
 彼女の前に、青いガンダムのパイロットが姿を現したのだ。
 故に二人は何処かで縁があったのだろうと、昔の事と合わせてライルは思った。
「……あ、このたびは有難うございます」
 初めて顔を合わせたライルに、マリナ・イスマイールは挨拶をしてくれる。
 だが相手はなんと言っても皇女様である。
 一般人だったライルは、普通に固まった。
 数瞬後、ライルはギクシャクと頭を下げた。
「いえ、この度は大変な目にお遭いになられまして、お見舞い申し上げます。お目にかかれました事、大変な栄誉です」
 一般人の挨拶をすれば、この艦でそんな対応をした人間はいなかった所為で、マリナは少し目を見開いて、その後微笑んだ。
「アザディスタンの第一皇女、マリナ・イスマイールです。お手数をおかけいたします」
 そんなマリナに、ライルは癖で45度の営業で叩き込まれたお辞儀をしてしまう。
「お言葉をかけて下さって、光栄です。私は……」
 またもや癖で名乗りそうになってしまったライルに、マリナはストップを入れる。
「お名前はおっしゃらないで下さい。これ以上、ココの方にご迷惑はおかけしたくありませんので」
「あ……」
 いくら一国の主であるとはいえ、組織活動をしてもいない人物に諭されてしまい、ライルは慌てて口に手を当ててしまう。
 そして己の失策を謝罪した。
 そんなライルにマリナは笑って、気さくに声をかける。
「部外者の私がフラフラするのはご迷惑かと思いますが、部屋にいますと色々と考えてしまって。よろしければ、海の様子が見える場所を、お教えいただけますか?」
 散歩がしたいと言う彼女に、ライルは笑って手を差し伸べた。
 そこで向かったのが、第二展望室だった。
 第一展望室はブリッジに近いために、ソコを選んだ。
 それが刹那の運のつきだった。
 暫く談笑しながらその場所の扉を開ければ、懐かしいにおいが鼻をつく。
 特に今、飢えているライルにはたまらない香りだった。
 部屋の中を見回せば、ソコにはイアンがいた。
 ライルと目を合わせた瞬間、イアンは慌てて手に持っていたものを隠す。
 だが煙までは隠せなかった。
「……あのさ、俺の目の錯覚じゃないよな」
「いや! 目の錯覚だ!」
 刹那に「隠しておいてやる」と言った手前、イアンはライルの言葉に乗じて返答する。
 だが禁煙も限界に突入していたライルには、その言葉すら、額に青筋が浮かぶものだった。
「……ちょっと今から刹那に話してこようかなッ」
 何故隠していた。
 環境は問題ないではないか。
 ライルがスモーカーだと知っていたのに、この事を伝えなかった彼女に、ライルも怒りを感じる。
 虐めだ。
 酷い虐めだ。
 しかも周りを言いくるめているなど、許されない。
 新参者虐めだと、鼻息荒く第二展望室を出て行こうとしたライルを、マリナが笑って止めた。
「あら、刹那が実行しようとしていた方は、あなただったんですね。刹那、残念だわ」
 クスクスと笑われて、しかも相手がお偉いさんと来れば、元来サラリーマン気質が根付いているライルの行動を止めるには、十分な威力を持っていた。
 そしてマリナによって凪いだ空気に、イアンも肩をすくめて諦めを表して、ライルを呼び寄せる。
「俺の一本やるから、許してやれ。だけど自室以外だと、ココにしか喫煙スペースは作ってないからな。俺の自信作のエアカーテンと吸煙システムだ。ありがたく使え」
「自室でも吸えるんですか!」
「あ? ……ああ、自由だ。やべぇなぁ。俺、刹那に怒られちまう」
「怒るのはコッチだっつーの! 俺がどれだけニコチン愛してるのか解ってたくせに、なんだアイツ!」
 初めて出会った時から、彼女はライルが請うた喫煙を許していた。
 まだ遠慮の塊りだった頃から耐えられないほどのヘヴィスモーカーだったライルが「失礼しても?」と問うたとき、ソランは笑顔で「どうぞ」と促してくれた。
 なのにどういう事かと、イアンの煙草を一本貰い、久しぶりに火をつけながら文句を零せば、マリナはその様子を微笑ましく眺めながら、女性の意識を伝えてくれる。
「アザディスタンは、石油輸出規制がかかった後、経済を支えていたのは煙草産業でした。ですので王宮でも喫煙は自由でしたが、殆どの国は今は喫煙禁止です。慣れない香りは、実は辛かったのではないかしら」
 柔らかく言われて、ライルはそれでも……と、自分たちの付き合いの長さを訴えれば、イアンは笑ってマリナの言葉に付け足してくれる。
「いやいや、年頃の女ってのは、基本的に煙草ダメだぞ。うちは珍しく嫁さんまで吸うから許して貰えてるが、この場にアイツが来て見ろ、目を吊り上げて「最低ですぅ!」って叫ぶぞ」
 口調に、それが彼の娘のミレイナである事が解って、そんなものかと首を傾げてしまう。
 ソランは勿論の事、ニーナも今までライルに文句を言った事はない。
 だがニーナはまだ幼子だ。年頃になればそうなるのかと、思わず想像してしまった。
 それでも久しぶりの煙草の味に、ライルは体中の空気を抜くように溜息を零した。
「あー、生き返る。死ぬかと思った」
 そんなライルを、二人は笑った。
「まあ、気持ちは解るけどな。何よりもコレが無いのは辛いよな」
 イアンがそんな言葉をライルに投げかけてくれて、ライルは半泣きになりながら頷いた。
「もう、何よりも辛い。マジで辛かった。今までの何よりも一番辛かった」
 体力増強のトレーニング期間よりも、システムの勉強よりも、何よりもとライルが思っていれば、またマリナが刹那を助けてくれる。
「刹那は残念でしょうね。きっと彼女にとっては良い期間だったんでしょうから。アザディスタンに着いたら、唯一まだ残っている産業の、自国の銘柄の煙草と、フレグランスをプレゼントさせて頂きます。あなたと刹那の、両方の快適な空間の為に」
 彼女の友人であると主張して、そんな有り難い言葉をくれる偉人に、何故今もまだ、国が混乱していても彼女が王位についていられるのかを悟る。
 反発している人達がいたとしても、彼女はやはりカリスマがある。
 誰もが膝を折ってしまう雰囲気に、ライルは苦く笑い返した。
「有難うございます。フレグランスは気をつけます」
 次回、補給物資を請求する時は、小さくとも空気清浄機を要望に追加しておこうと、マリナの言葉でライルは心に一つ、覚え書きをした。





 その夜、いつものように、休息時間にライルの部屋のインターフォンが鳴った。
 相手は確認せずともわかる。
 当然刹那だ。
 愛しのソランさんである。
 リモコンでロックを外して部屋を開けさせた。
「…………」
 部屋に入った途端、案の定、刹那の眉間に皺が寄る。
 何故吸っているという視線に、方眉を上げて、口元に煙草を咥えたまま、口端を引き上げた。
「ざーんねんでした。今日知っちゃった」
 艦内のシステムと、第二展望室の存在を示せば、ライルの部屋ではソランに戻る刹那は、眉を寄せたまま溜息をついた。
「……体に、悪いだろう」
「そんな理由で止められるのなら、とっくに止められてるっつーの。にしても、ホントにこの艦は凄いな。空気の補充を、宇宙空間でも、外部に氷として漂っている水を採取しながら航行して、ソコから空気作るんだって? 今なんて海中だから、作り放題だって聞いたぜ。いやもう、CB万歳。俺、ココに来て良かった!」
 カタロンで宇宙に派遣されていたら、こうはいかなかっただろう。
 きついトレーニングもスケジュールも、これさえあれば乗り切れると、ライルは上機嫌で煙を吐き出した。
 そんなライルに、ソランはもう一度溜息をついて、それでもライルの側に座った。
 そこで、ライルの香りに気がつく。
 以前、デートの時に彼が纏っていた香りが、鼻をついたのだ。
「マリナ様に諭された。女は煙草のにおいは辛いってさ。出来ればフレグランスをって言われて、持ち込んでたのがコレだけだったから、一応つけておきました」
「……マリナ?」
「ああ。今日の昼ごろ、通路でバッタリね。いやもう、俺超緊張した。皇女様なんて、俺みたいな一般市民が会える人じゃないからなぁ。コレもCB万歳だな。やっぱり皇女様って、上品で口上手いよなぁ。しかも俺みたいなヤツにも気を使ってくれるなんて、マリナ様最高。凄い経験沢山出来て、なんか人生得した気分だ」
 久しぶりの開放感に、ライルのテンションは駄々上がりだった。
 マリナの素晴らしさを滔々と語り、喫煙できる今を謳歌していた。
 故に、ライルの言葉が進むに連れて、ソランの表情が強張ってきている事に気がつかなかった。
 暫くしてライルの口が止まった後、ソランは数瞬時間を置いて、普段よりも低い声でライルに語りかける。
「……悪かったな。下品で口下手で下々のもので」
「……あ?」
「どうやっても言葉遣いは治らないし、マリナのようなたおやかさもない。この動乱が終わったら、お前はアザディスタンに移住すればいい。そうすれば、マリナの恋人になれるぞ」
「…………」
 ソランの不機嫌な言葉は、更にライルのテンションを上げた。
 嫉妬をしているのだ。
 このソランが。
 何事にも無表情に、効率的に物事を進め、冷静さが売りの、この刹那が。
 吸いかけの煙草を、思いっきり携帯灰皿に押し付けて、ライルは慌てて洗面所に駆け込んだ。
 全開で蛇口を捻り、大量の歯磨き粉をつけて、慌てて歯を磨いた。
 一秒でも早く、口内のニコチンの味を消し去ろうと躍起になって歯を磨いて、必要以上に口をゆすいで、再び慌ててベッドに戻る。
 その勢いで、刹那を押し倒した。
「あーもう、ホントにCB様々ッ! こんな可愛い女まで揃えてくれるなんて、俺、初めて子供の頃に射撃やってて良かったって思えた!」
 ソランを抱きしめて、頬ずりしようとしたライルを、ソランは頬を膨らませながらも、ライルの顔が近づくのを止める。
「……口の端に、まだ歯磨き粉がついている」
 指で拭ってくれるその仕草も、ライルのテンションを上げた。
 再び慌てて、今度はベッドの脇に設置してあるティッシュの箱に手を伸ばしてザクザクと何枚か引き抜いて、ソランの指先と、自分の口元を拭う。
「もうキスしていいよな? ちゃんと煙草の味消してきた!」
「……お前はマリナのような女がいいんだろう? 俺よりも、マリナを口説きに行けばいい」
「あーッ! もうダメ! 愛してる!」
 結局承諾も得ずに、ライルは貪るようにソランの唇を奪った。
 嫉妬をして、文句を言っても、結局ソランもライルの唇を受け入れる。
 そしてライルの興奮に飲まれていった。





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最先端技術の宇宙航行母艦の素晴らしさを、喫煙者目線で作ってみました……。水から酸素云々は、確か何処かのSF設定で乗ってたものです。この日のライルは、第二展望室を出た途端、「ひゃっほう!」と拳を掲げてジャンプしてます。マチ○ダさんと写真を撮ってもらったア○ロ状態。
そしてミーティングシーンにラッセ忘れたすみませんッ。
次回はライル君バーストモードです。刹那は今までの分、一気に受難に見舞われます。