「サイズはどう?」
「このトルコ帽、落ちそうだよ」
毎年恒例、学園主催のハロウィンパーティーの準備に、和希と啓太はおわれていた。
開場まで後1時間。
二人は和希の作った仮装衣装を啓太の部屋で試着をしていた。
「でも、結構似合うじゃないか」
「この時期にこの格好は寒いと思うんだけど」
「俺の方がよっぽど寒いよ。上半身裸だぜ?」
二人のテーマは『アラジンと魔法のランプ』。和希は最初、啓太にはお姫様のジャスミンの格好をさせようとしていたのだが、当然即刻却下された。という訳で、啓太はアラジン、和希は魔人ジーニーという事になった。
「でもま、サイズはオッケーだし良いんじゃない?」
作ったのは和希なのだが、啓太はいつも通りえらそうに許可を出した。
「…なんか和希がそんな格好してると面白いね」
啓太は理事長であり、いつも人に命令を下している和希が奴隷魔人ジーニーの格好をしているのを見て、おかしそうに笑った。
その啓太の台詞を受け、和希はにやりと笑って急に啓太の前に跪いた。
「ちょっと、和希?何してるんだよ?」
和希は啓太の手を取り、口付けながら『アラジンと魔法のランプ』の代表的な台詞を啓太に告げた。
『ご主人様、何でも願い事を3つ叶えさせて頂きます。ご主人様のご要望はなんですか?』
「な…和希?」
啓太が驚愕している間に、和希は啓太の足首に唇を這わせ、服従の証のまねごとをした。だが、その唇の動きは愛撫に似ていて、行為に慣れた啓太の体は敏感に反応した。
「ちょっ…やめろよ」
『さあ、ご主人様、願い事をどうぞ』
あくまでもなりきっている和希に、啓太はどう対処していいか迷った。その間に和希の唇は啓太の足を愛撫し、段々とその位置を上部に上げて行った。
「やっ…ダメっだよ」
薄い布で作られた衣装は、和希の唇の動きを鋭敏に伝えてくれる。そして、和希の唇が啓太の胸の飾りに到達した時、啓太はへたりと背後のベッドに座り込んだ。
「だから、ダメだって!開場まであと1時間しかないんだから!」
啓太の抗議の言葉を綺麗に無視して、和希は愛撫を続ける。
「だって、啓太が望みを言ってくれないから、『これかな?』って思った事をしてるだけだよ」
「誰も今は望んでないーっ!」
だが、啓太の若い体は、既に胸の飾りは赤く熟れ、茎はゆったりしたズボンの上からでもハッキリわかる程角度をつけていた。
「ほら、啓太が望まないと、衣装が汚れちゃうよ?」
和希はわかっていながら、啓太の胸の突起を舐め続ける。
「あっ…やぁっ…わ、かった!じゃあ、今度出かける時、いちごパフェおごって!」
苦し紛れに言ったその願いに、和希は愛撫の手を止め、体が熱くなっているというのに即物的な願いを言う啓太にぷっと吹き出しながらベッドの下に跪いた。
「仰せの侭に。ご主人様。そして、後二つは?」
「か、会場で考えるからちょっと待ってっ!」
「今じゃなきゃダメ」
啓太の台詞に、和希は再び愛撫を再開した。
耳を食みながらズボンのチャックを開け、若い茎をしごく。その動作に啓太が耐えられる訳も無く、二つ目の願いは案外簡単に口をついた。
「ぁ…ああんっ…じゃ、じゃぁキスしてぇ」
熱に浮かされた啓太の言葉に、和希は再び同じ言葉で合意をした。
『仰せの侭に、ご主人様』
耳元で囁く様に呟やいた直後、嵐の様な口付けを啓太に与えた。
唇を吸い上げ、うっすらと開いた啓太の口内に下を潜り込ませ、舌を絡めながら甘い蜜をすする。かと思えば、啓太の舌を吸い上げ、和希の口内で転がして、舌の根元まで愛撫した。その口付けはゆうに5分は続けられ、啓太は思考力を奪われた。
とろんとした目をしている啓太に向かって、和希はストーリー通りの言葉を啓太の耳元で囁いた。
『さて、最後の願いは私を自由にして下さるんですよね?』
和希に言葉に、啓太は胡乱な目で和希を見上げ、ぽつりと呟いた。
「和希の…好きにして」
ストーリー上の台詞とは少し違ったが、和希は欲しかった言葉を手に入れ、啓太の衣装に手をかけた。
学園島の中央広場では賑やかにハロウィンパーティが繰り広げられていた。
満足げな和希と顔を赤らめた啓太がその場に現れたのは、当然宴もたけなわ、そろそろお開きという時間になってからだった。
END
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