つい先日、告白しちゃました。
お相手はこの学園の学生会会長。
つまりは生徒の中で一番権力をもった人。
まぁ、そんなのは理由にもならなくて、
ただ好きになった彼がその役職だった、ってだけなんだけどね。

彼がオレを好きだというのは本人の口から直接聞いて知っていたけど、
オレからは伝えていなかったから。
いや態度にはかなり出していたのに激鈍い彼はいつまで経っても気付いてくれなくて。

オレに告白して以来、恥ずかしさからなのか照れからなのか避けまくりで、
触れるどころか話すこともろくにしてくれなくて。
ついに痺れをきらして「好きなんですけどっ!」と半ギレ状態でオレは想いを告げたのだった。
思い出しても何とも色気のない告白だったと思う。

なにはともあれ、
晴れて恋人になれたわけでこれから始まるラブラブスクールライフに胸を躍らせていた。

…のに。
どういうことなんだかさっぱりオレに春が訪れません。
季節は2月。
暦の上ではもう春なのだけど、そうじゃなくてココロの問題。
以前よりも更に輪をかけて距離をおかれるようになった。
それが耐えられなくて告白したというのに、何のためのものだったのか分かりゃしない。

学生会の手伝いで書類を渡そうと手が触れただけでバサバサ書類は落とすし。
食堂で隣に座ればすごい勢いで平らげてさっさと席を立っちゃうし。
廊下ですれ違っても目も合わせてくれないし。

意識してくれているんだ、って分かるけど!
いくらなんでもここまでくるとオレだって耐えられないよ。
見方によっては友達以下だよ。

もうこうなったら実力行使に出るしかないよね?
オレのこと蔑ろにした落とし前、きっちりつけてもらうんだから。


寒明け

 


ファー素材のあったかいスリッパをはいて、なるべく足音がしないように静かに。
消灯時間はとうに過ぎて寮塔の廊下は静まり返っている。
3年生の人の部屋は2階上。

そうっとそうっと階段をのぼって、まるで夜這いに行くみたい。
落とさないよう枕を持つ両手にきゅっと力を入れて、向かう先はもちろん彼の部屋だ。

みんなで集まってわいわいする時と違って、
入ってしまえば二人きりなんだと思うと予想以上にドキドキしてきた。
二人きりでないと困るんだけどさ。

そんなことを考えていたらあっという間にたどり着いて、
落ち着くためにふうっ、と一回息を吐いてから。
どうか起きてますように、と控えめに小さくノックした。
用意してきた台詞を頭の中で再度確認して扉が開くのを待つ。

「はーいはいっ、どちらさん…」

案外簡単に開けられたドアから彼が顔を覗かせた。
言いかけで止まったのは、訪問者がオレだったからだろう。
分かっていたとはいえ、ちょっと傷ついた。
それでも、わざとだけど顔を伏せて悲しそうにしたオレに王様は追い返すことはしなくて。

「どうしたんだ、啓太?」

と優しく訊ねてくれた。
こっちがしおらしく出ればそっけなく出来ないことは予想済み。
片手を緩く握って口の横に添えながら、
瞳を揺らして準備していた嘘をつく。

「怖い夢、見て…それで。」
「俺のところに…?」

そんなことでいちいち寝られなくなる様なヤツではないんだけど嘘も方便っていうでしょ。
うろたえてる王様と距離をつめて、彼のパジャマの裾を掴んだ。
この仕草に大抵の男は弱いものだ。

「…迷惑ですか?」
「やっ、つうか、その、なんでかなぁと!」
「だって王様、オレの恋人なんでしょう?」
「…っ、あ、や…まぁ。そう・・だけどよ…っ。」

恋人、という単語に過剰に反応して頬を染めるのは逆であってほしいと願っても。
彼相手じゃ一生それは無理かもしれない。
そんな彼にこれを言ったらどうなるんだろ。
だいたい見当つくけど。

「だから…一緒に、寝てください。」
「いいいいっしょにぃっ!!!??」

案の定、裏返った声で動揺しまくりにリピートしてくれた。
わあ、ビンゴ。
でもNOと言えないくらいの手立てはちゃんと考えてあるんだから。
泣きそうにスン、と鼻をすすって、

「やっぱり、いや…なんですか。」

と聞けば。

「…なワケっ」

ほぅらね。
断れるはずない。

「じゃ、寝ましょう?」

涙をこらえたようにはにかんで笑いかけると王様は首を縦にふるしかなかった。
演劇部で得たスキルは最大限に活用させてもらいますから。
入室を許されてしめた、とほくそえんだことに彼は気付かない。
後ろ手でちゃっかり施錠したこともね。

寮の各部屋にはよほどのことがない限りベッドは一つしかない。
ともすれば二人の寝床は一緒になるわけだ。
ベッドの宮の小さな明かりだけ残して、
多少のムードは出るかもなんて思ったんだけど。

(…離れすぎでしょ。)

ベッドの縁ギリギリという離れた場所で横になっている彼に聞こえないようため息をついた。
持参した枕に頭を預けて声をかける。

「ね、王様?もっとこっちに寄らないとベッドから落ちちゃいますよ。」
「いやっ、だ、だいじょうぶだから!」
「大丈夫じゃないです!ほーらっ。」
「ちょ、けーた…!」

このままじゃ何の進展もないだろう、と

「王様が怪我したらイヤなんですーっ。」

なんて最もらしい理由をつけて腕を引っった。
衣服の上からなのに彼の体が火照っているのが分かる。
王様は大袈裟に驚いて必死にオレとの接触を避けようとしていた。

「…わわ、わかった!わかったから手ぇ離せ!なっ!?」
「…はい。」

こうまで言われるといい加減凹みたくなるけど、
同じ男だからか何となく「そういうの」雰囲気で分かるんだよね。
だからあと一押しだと気合を入れる。

「本当に、避けてなんかねぇからな。」
「じゃあ、好き?」
「なんでそこに話がとぶんだっ…!?」

王様なりの懸命なフォローを逆手にとって煽ってみせた。

「ずーっと前に、好きって言ってくれたのは、嘘?それとも忘れちゃったんですか?」
「だからっ、その、あれは!!」

上手く返せないでしどろもどろになっている彼に近づいて、
ゆるりと反応し始めている箇所を撫でた。

「どうして…ここ、こんなになってるんでしょう?」
「けいっ…」
「オレと一緒にいるから?答えて、王様。」

追い込んだ。
体格的には逃げられるはずなのに、
心理戦で打ち負かしてしまえば身動きをとれなくすることは容易である。

「興奮してるの?」

かけ布団をめくると、組み敷くように彼を見下ろした。
真っ直ぐに目が見られないのか視線が泳いでいて、宙を彷徨ってる。
赤い顔をして、今の状態に恥ずかしがって、本当可愛いね。

「オレのせいでこんな風になっちゃってるなら、オレが責任とらないと、ですよね?」
「…なっ、啓太!?」

プチプチとパジャマのボタンを外しながら、
現れる素肌に口付けを落としていく。
筋肉のついた厚い胸板は手に心地いい。
指先でつつ…と肌をなぞって色づいた胸の飾りを口に含んだ。

「まっ、まて…って!…っく!」

舌でちろちろと淡い刺激を与えると、小さなそれはぷつりと尖った。

「いーやーでーすー。」

オレがこういう手段をとらざるを得なくなる前に手をうたなかったあなたが悪い。
鎖骨の上にきすまぁくをつけてから、
ずりずり体を移動させて王様のズボンに手をかける。
パジャマだと脱がすの楽でいいな。
何だか王様が上で言ってるけど聞こえないふり。

そう、だって腹がたってるから。
純情ぶっちゃって、それなのにこんななってるのなら態度で示してくれればいいのに。
オレに欲情してるのなら壊れるくらいに掻き抱いてくれればいいのに。
戸惑って、躊躇して、オレのことほったらかしにして。

「・・・っ!」

覚悟してよね。
王様が息をのんだのが分かった。
先から雫をこぼしていた彼のペニスをぱくん、と銜えてみせる。

もうすでに立派なサイズにぞくぞく興奮して、ずっと味わいたかったその味に腰が疼いた。
おいしいわけではないのだけど、言い表わせないえっちな味。
亀頭をくにゅくにゅ押しつぶして先走りをすくう。

「おうひゃま、おれのこほおはふにふはっはひひた?」

大きな陰茎を口に含んだまま王様に問いかける。

「ちょっ…けいっ…しゃべ、んな…!」

しゃべるともごもご歯がすれてその感触がたまらないのか、
そういいつつも自身の質量は増すばかりだ。
唾液と彼の体液が混ざり合って飲み込みきれず口の端からだらりと零れる。

指で愛撫する際、滑りがよくなっていいか、とシーツが汚れてもさして気にしない。
どうせ最後までやってしまえば結果は一緒なんだから。

「ねぇ、ろーなの?おうひゃま…」

銜えたままもう一度問うと、舌で浮き出た筋をなぞるように擦り付けた。
そうして痛いほどに強く押し上げる。

「ぅあ…っく!」

びくんっ、と王様の腰がはねて、抑えきれなかったのか感極まった声がこぼれる。
感じてくれているのが嬉しくて、もっと深くまで銜えてみた。
じゅく、と音をたててペニスをしゃぶる。

口内で脈打つそれにオレまでますます興奮して、
ズボンの中で自身が温度を上げているのが分かった。
王様のことを考える度熱をもって毎晩慰めてきた体。
今までの寂しい気持ちを埋める分だけ、今日はめちゃくちゃに愛されたいよ。

「んむぅ…ふ…んんっ!」

口を窄めて同時に竿を往復する。
愛されたい、けど。
晩熟な彼のためにオレが準備しておいてあげないと。
いつまで経っても結ばれそうにないんだもの。

いつかは、ってずっと思い続けてきたけど、
こちらから積極的にいかないと関係は変わりそうもない。

だから、そのためにも可愛がってあげることにしたんだ。
王様が止められないくらいオレを求めたくなる状況にするために。
悪どくってごめんね?

「けいた…まじっ、やべぇ・・から…!」

目が潤んでいるのを隠したいのだろう。
彼は自分の腕で視界を塞いでいた。
感じすぎてやばいのか、イきそうでやばいのか、理性が効かなくなりそうでやばいのか、
3つともなら大歓迎だ。

ガタイもよくてナリも立派なクセに快感には滅法弱いらしい。
そういった意味ではオレよりもプラトニックといえる。
でも告白されたあの日、夢に見ていたといったあのキスが嘘じゃないなら、
年頃の男が抱く性的欲求を感じていないわけがない。

夢現での口付けは触れるだけだったけれど、確かな熱はあったから。
健全な感情だけでないと思う。
あれから一度も、彼からはしてもらっていないけど。

「きもひいい?…っイっひゃいほうれふか・・?」

彼のものはたらたらとカウパーをあふれさせて解放を望んでいる。
体は正直なのに、どうして言葉や態度ではあらわせないの?
前の質問に答えてない時点で事実だと言っているようなものだから、答えは知ってる。
想像して使ってたのはオレだけじゃないよね。
オレのこと好きだから、シたんでしょ?

先端をきつく吸って絶頂への道のりを縮める。
別のイキモノみたいに特別熱くて、
それがオレの手によって育てられたというだけでかなりの満足感を得られる。
でも自分から答えを言ってくれないから、彼の意思ではイかせてあげない。

鈴口を舌の先で執拗に舐めて、吐息と一緒に漏れる掠れた声にオレは喉で笑った。
好きな人を押し倒して自分のいいようにしてるこの状況、楽しまなくては損だ。
括れを唇で挟んでじゅじゅっ、と思い切り粘液をすすった。

「ふあっ…あ…!」

王様の背中が仰け反って、
きっとオレが指でしめつけてなければイっていただろう。
射精できなかった彼はひくんっ、と体を震わせて

「けい…た?」

と泣きそうな声でオレの名を呼んだ。
オレはゆっくり唇を離して、
銀色の糸が切れると指で彼のペニスを弾いてみた。

「っあ…、う・・!」

さんざんに舐めまわされたそれは苦しそうにはりつめたまま、衝撃にぶるん、と震える。
真っ赤に熟れて早く達したいと願っているみたいだ。
けれど初めてオレが育てたものなのだから、オレの中で放ってくれないとイヤだ。
ベッドの脇にあるコンセントから携帯の充電器のコードを引っこ抜いた。

「王様、まだ…イっちゃだめ。」

理由を問われる前に手早く。
コードを彼のペニスに括りつけて根元を縛った。
燻製にされる肉みたいに可哀想なくらいきつく巻き上げる。
こうでもしないと、彼だけ先にいい思いしそうだから。

「痛ぇっ、けー、た…!」
「ふふっ…痛く、しましたから。」

顔を覆う王様の腕を退けて、濡れた睫に舌を這わせた。
彼の涙を見られる人間なんてそうそういないと思う。
もちろん、見下ろせる人間も。

「ね、答えてよ王様…。オレのこと、オカズにした?」

ゆるく口元で笑って、上気した彼の頬に唇を滑らせる。
れろりと舐めてうすく開いた目は彼を捉えたままだ。

「どうなの、王様…?」

戸惑っているのか中々口を割らない彼に焦れて、
下肢にのばした左手で陰茎をぎゅっと握りこんだ。

「…っつぅ!」

痛みに顔を顰めて彼ははあぁ、と熱い息を吐いた。
ひそめた眉がやけに色っぽくて興奮する。
答えが分かっているのに、あなたの口から聞きたいばかりに。
強引な手段だけど許して。

「……し、た…。」

すまねぇ、と小さく付け足して目を逸らしてしまった王様が口を開いた。
あぁやっぱりあなたの声で聞くと、たまらない。

「ごほうび。」

謝る必要なんて何もないのにバカですね、とくすくす笑ってキスを一つ。
彼は自分の味も含んだオレの唾液に複雑そうな顔をしていたけど、拒否はしなかった。
舌を差し出すと拙い仕草で絡めてきて、むず痒さにオレは今更頬を赤らめた。
組み敷いた状態の自分の腕は油断するとカクン、とくず折れてしまいそうだった。

「オレも…王様使ってヌきました。」

移動させた唇で耳朶に口付けて息をふきこむ。
王様はオレの告白に驚いたのか目をパチパチさせた。
そんなにびっくりすることないでしょう。
好きな人とSEXしたいって当然の欲求。

片手は白い布についたままで、オレは器用に自分の下肢の衣服を取り去った。
王様のを銜えて昂ぶった自身はやはり首を擡げている。
腹につきそうなほど角度をもって、先からは我慢出来ない蜜がこぼれていた。

「ほら、見てください。王様のしゃぶってただけで、オレ…こんなですよ。」

寝台のライトだけで照らされるペニスはぬらりとオレンジの光をうけて同じ色に濡れひかっている。
王様のゴクリと生唾をのみこむ音がやらしくて、オレは思わず舌なめずりした。
彼に欲情してあふれるその蜜を指に絡めると、
僅かに開いていた彼の口の中につっこんだ。

「おいし?」

人差し指と中指で口内を弄りながら訊ねる。
彼は嫌な顔ひとつせず舌を使って指の間まで舐めてくれた。
こういうものに嫌悪がなくってほっとする。
だけど、致しちゃうってことは使うのはココだけじゃないって知っているでしょう。
彼の唾液で十分に潤うと、2本の指を引き抜き囁いた。

「使ってたのは、前だけじゃないですよ。」

オレは体の向きを変えて再び膝立ちになると、
王様にお尻を近づけて秘穴に濡れた指を差し込んでみせた。

言葉の通りほぼ毎日、
王様に貫かれるのを想像して自分で慣らしてきたそこはすんなりと侵入者を受け入れる。
指の根元までずぷりと埋めて、もう一度引き抜きぬいてみせてからまた奥まで。
彼の目の前で肛門を弄るという羞恥がオレには快感だった。

「ふっ…あぁっ…見て、おぅさまぁ。オレ・・毎日こんな風におおさまのこと、考えて…!」

後ろを犯してきたんです。
大きな陰茎でこの淫らな穴をぐちゃぐちゃと掻き回してほしいと、どれだけ願っただろうか。
細い指で絶対的な快楽を得るのは難しくはあったけど、
彼のものだと思うだけで簡単に波にのまれることが出来た。

でも、伴うのは虚しさ。
所詮自慰だもの。
でもあなたのソレが今日からオレを溺れさせてくれるんですよね?

縛られた目下のペニスに期待から唾をのんで指の動きを早めた。
いつもより濡れるのが早くてあふれた液で秘所から卑猥な音がしている。
指の間に隙間をつくれば内の肉を王様に曝け出すことになる。

めくれてぷくりとふくらんだ入口は真っ赤な色をしているだろう。
王様の熱い息が双丘をくすぐって、オレはたまらず背中を反らせた。

「啓太っ…お前、すげぇ・・えろい。」

彼のそれだけの言葉で達してしまいそうだった。
淫乱な姿を愛しい人に曝すのがどうしようもなくキモチイイ。
オレは腰を揺らしてもっと淫らに抽挿を早めた。
汚れた雫が彼の顔に零れてしまったら恥ずかしい、なんて思いながら。

「俺のこと考えて…そんなにしてんだ。」

言った王様がするりとオレの自身を撫でて、一瞬意識がとびそうになった。

「あっ、あっ…だめぇっ・・イっちゃ…!!!」

彼の手の上から自分でペニスをしめつけ、何とか射精を押しとどめた。
支えを失くしたオレの状態は逞しい体の上にくずれた。
顔が彼の契のすぐ横に着地して、蝶々結びで可愛く仕上げられたそれにほお擦りする。

肌にぬめりと共に熱さを伝えて。
もう、限界。


「一緒にっ、イきたいの王様ぁっ…!」


後ろに埋まっていた指を抜いて王様の方に向き直った。
お尻の割れ目に勃ち上がった彼の陰茎をぬるぬるとこすりつけた。
ひくつく秘穴は早くのみこみたいと収縮を繰り返している。
この熱がこれからオレの中まで貪ってくれるのだ。
そう思うと体の震えが止まらなかった。

「…っおうさま…」
「啓太…そんなに怖ぇならやっぱやめた方が…」

よくねえか?と。
組み敷かれている王様が心配そうに見当違いなことを言ってくれちゃったりするものだから。
こんなに苦しそうに勃起させといて、やめるなんてこと出来るの?

手を拘束されているわけでもないのだし、欲望のまま好きにしてくれていいんだけど。
でも、それが出来ないのが王様なんだよね。

「これは、嬉しくて震えてるんです。だって、ずっと王様とこうしたかったから…」
「啓太…。」
「王様で、いっぱいにして…?」

これ以上迷わせないように、乾いた彼の唇に口付けてオレは腰を浮かせた。
彼が息をのんだと同時に。
いきりたった自身に手を添えて体を沈めていった。

「っあ…痛ぅっ…!」
「ふ、うぅ…お、さまぁ…っ!」

ぐぷぐぷと埋まっていく灼熱にオレは喉を仰け反らせた。
一番太い括れまでを呑み込むと、一旦荒く酸素をとり入れる。
何て、大きいんだろう。
慣らしていたとはいえ、指とは比べ物にならない存在感に苦痛は隠せない。
箇所がめいっぱい広がってぎゅうぎゅう彼をしめつけている。

「喰われ、そうっ…啓太っ…。」

辛いのはオレだけじゃなくて王様も。
狭いこの器官にこれだけのものを入れれば痛みが伴うのは当たり前だ。
けれどそれでもオレのペニスは固さを失わなかったし、
半端な位置で止まっている彼のものもより熱くなっただけだった。

求めていたものがやっと手に入ると思ったら、この痛みすら快楽になる。
だってオレなんてもう、今すぐにでもイってしまいそうなんだ。

「んんっ…う…んっ!」

徐々に腰を落として、
いつ終わりがくるんだろうという長い長い時間をかけて根元までのみこんだ。
自分の脈とは別の、違う脈が確かに繋がった場所に存在している。
どこよりも深く、近く、感じている。

「おうさまっ…!」

ずっとこうなりたかった。
告白されてそれからほとんど触れてもらえなくて、その距離に不安を覚えたりもした。
純なあなたも好きだけど、それを切なく思ってしまうオレがいて。
だってどうしたって、好きな人には触れてもらいたいから。

「あ、あぁっ…んあっ・・あっ!!」
「…っく、う…っ!」

彼の胸板に手をついて、
ぶるぶると震える足に力を込めてゆっくりと双丘を揺らした。
上下に動くのはまだ無理で前後にしか腰を動かせない。

みっちりと埋められて内臓が押し上げられるような慣れない圧迫感に息をつめる。
でも苦しくても、満たされた幸福感の方が断然まさっているから。
オレはぽろぽろ涙をこぼした。

「すきっ…おうさまぁ…っ。」

セックスしたいから恋人になったんじゃなくて、
恋人になったからセックスするんじゃなくて。
あなたがオレを好きでいてくれて、オレもたまらなくあなたが好きだから。
だからこうして繋がりたいと思うんだよ。

オレは自分が思っている以上にずっと子供で、
あなたが触れてくれないだけで簡単に傷ついて、寂しがっていたんだ。

「おうさまぁ、あぁっ…あっ…!」
「…けい、たっ!」

胸についた手は滑りそうなほど汗を掻いて、
王様を気遣う余裕もなくその肌に爪をたてた。
腰を揺らす度秘所から濡れた音が聞こえてきて、
その卑猥さに耐え切れずきゅっと目を閉じた。

「啓太…っ。」
「ふぁ…!?」

王様がオレの名を呼んで上体を起こした。
両手を首にまわすように促されて、
更に密着した肌の熱さにオレは更に後口をしめつけてしまった。
うっ、と王様が一瞬辛そうな声を出したけどすぐ後に唇にやわらないものが触れて、
いくらか強張っていた体から力が抜ける。

「目ぇ、あけろ…。」

荒い息遣いと一緒に鼓膜まで犯されて身悶えた。
言われて涙でぼやけた目をうっすらと開ければ。

「綺麗だ、啓太。」

見たことのないくらい色っぽい男の顔で彼はそう言って、
オレはその妖艶さにくらりとした。

そんな台詞、卑怯だ。
格好よすぎて困る、よ。
瞬きして大きな雫を落とすと、
もう一回唇が近づいて今度は深く重ね合わせた。

「んん〜っ…ふぅ…んっ!!」

キスしたまま彼が下肢を揺さぶって再び強すぎる快感が訪れる。
体重を全て預けてしまっている状態で最奥まで抉られて、
気を抜けば意識をとばしてしまいそうだ。

まだ緩慢な動きなのだろうけど、自分で動くのとは刺激が違いすぎる。
彼に巻きついているコードも無機質な冷たさを一切失って、すっかり熱くなっていた。
繋がる箇所は溶けるんじゃないかと思うほど、温度の境目が分からない。

「うあぁっ…あんっ!」

ぐぐんっ、と勢いをつけて腰を打ちつけられて衝撃に高く嬌声をあげた。
キスしていた唇が離れて開いた口から唾液が伝う。
彼の大きな手の平はオレの双丘をきつく掴んで、律動にあわせ揉み扱いた。

「はあ、あっん…あっ、ああっ…!おかしく、なっちゃうよぉ…っ!」
「なっちまえよ、啓太っ…!」

いつの間にか彼にリードを奪われて、
オレは翻弄される側になっていた。
ずぷんずぷん、と激しく昂ぶりで突き上げられて、その度に止まらない喘ぎがこぼれた。

さっきまで見下ろしていた男とは別人みたいに、野性的に。
そう、まさに望んでいた「貪られる」激しさ。
一度も射精を許されていない彼のペニスは最高に大きくオレの体内を埋め尽くす。

「ひゃああぅっ…もっと、つよくぅ…おうさまっ、おうさまぁ…!!」

必死に彼にしがみついて先走る悦楽につられ貪欲に求める。
貫かれぐちゅぐちゅと粘液が音をたて、
乱れるオレはどんなに飢えていたのか訴えるように理性を削いで。
もしかしたら彼にそう仕向けられたのかもしれないけど、そんなの分からない。
もう、どうにかなっちゃうくらいに

「気持ちいい、よおぉ―――…っ!!!」

「くっう…あ、けーた・・もっ!!」

切羽詰った王様の声。
オレもだよ、絶頂まですぐそこ。
ぐっ、と解放を遮っていたコードを王様が引っ張ったのを、中で波打つ自身で感じた。

「おおさまあぁ…っあぁ・・も、オレ…っ!」
「啓太っ…あっ、啓太!!!」

頭の中が真っ白になる。

「イっ…ああぁ――――っ…!!!!」

叩きつけられた熱い愛液を受け止めて、
オレも同時にのぼりつめた。

まだ微かに残っていた彼の精液が、オレの箇所の痙攣で全て注がれる。
とぷとぷ、リアルな感覚に腰を震わせ、
王様の体に掴まったままベッドに二人で倒れこんだ。

オレが放った欲で腹がぬるついていたけど、もう汗でぐしょぐしょだし、いいや。
あがった息を整えながら濡れた目で王様を見つめる。
彼の目も熱に潤んで、ゆらゆらと揺れていた。

「てつや…さ…」

余韻に掠れた声で愛しい人の名を紡ぐ。
王様…言葉じゃ伝えきれないほど幸せだよ。

「すき…」

あなたが、

「だいすき…」

甘えるように頬擦りして微笑んだ。

「…ふっあぁ!?」

ドクっ、とまだオレの中におさまっていたものが再度大きくなって、
驚いている間にオレの視界は180°変わっていた。
見上げた先には王様の熱い熱い眼差し。
両足を抱え上げられて腹が圧迫される。

王様…これって。

「名前呼ぶのは反則、だろ?」

「…あっ…てつや・・さんっ…!」

格好いい顔でそんなこと言われたら。
オレまで、また。

「好きだぜ…。」

低い声で囁かれればあとは決められた運命のように。
降ってくるキスにオレは静かに目を閉じた。
いいように絆されちゃうのも、


悪くない、かな?


随分長いこと待った春。
ようやくオレにも訪れたみたい。


って思ったのに!!!

「どうして逃げるんですか、哲也さーんっ!!!」
「なななな名前で呼ぶのはまだ禁止だ―――――っ!!!」

学生会室でいつものように、
『哲也さん、予算案の確認お願いします。』と紙の束を手渡せば。
バサバサ、なんてレベルでなく『わあああぁっ!!!』と叫んで見事にぶちまけてくれちゃって。

茹蛸みたいな顔をして学生会室をとびだしていってしまった。
逃がしてなるものかとオレもギアをマックスにして、
今その後を追いかけている。
ラブラブ「スクールライフ」はまだまだ遠そうだ。


「哲也さ―――んっ!」
「まだ禁止―――っ//////」


嵐が去ったようなすごい状態の学生会室で、
中嶋さんがこめかみを引き攣らせているのは同じ頃。


副会長のこわぁいお仕置きが待ち受けているのも知らないオレ達は、
未だ鬼ごっこを繰り広げている真っ最中だ。

-FIN-

 


※二十四節気の立春(新暦)なので2月でも春といふことでお願いします。
いただいたリクエストが「ヘタレ王×襲い受け啓太さん」だったのですが。
啓王になってないですよね!!??ぎ、ぎりAですよね!!??(笑)
うちの王啓シリーズの初夜ということで楽しんで書かせて頂きました、ありがとうございますv
「RE王国」のサマンサ遠藤様に捧げますです♪

ゆいみ様、有り難うございましたーっ!!!
もうもう、こんな理想の王啓をいただけるなんて・・・嬉涙で画面が歪んでます(T▽T)
言ってみるもんだなあと、調子こいてる私をどついてやって下さい。
ああもう、本当にどうしたらいいんだろう・・・←どうもするな
こんなイケ図々しいヤツですが、コレからもよろしくお願いいたしますv
そして、コレからも素敵な作品を楽しみにZEROin様に通わせて頂きます!
今回はゆいみ様のコメントも掲載させて頂きました。
本当に×∞有り難うございましたーっ!